いにしえの・・・・

だんだんと、店舗らしくなってきました。
シンクや調理台をいれてもらった、リサイクルの金岡さんの奥さんは、子供のころの大宇陀の様子を楽しそうに話してくださいました。
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それは、もうにぎやかだったそうです。
私のお店の北側、二軒隣りに映画館があったそうです。
よく、「あっこに、映画館があってん。」と、聞いてはいましたが、それらしい建物もなく、いつのことかと思っていました。
そして、その建物は取り壊されていると、思い込んでいました。
ところが、金岡さんのご主人が、
「今も残ってる。」と言われます。
「え?どこにですか?」と言うと、店の表に出て、2軒となりの元店舗でもあったのか、中折れドアのあるガレージに入って行かれました。
「ここや。」
え?ここって・・・こんなに狭いとこ。
「ここから入って、奥にあったんや。ほら、これ、ここでお茶飲ましててんな、狭かったんやな。」
見ると、古い木のドアに「シネマ喫茶店」の文字。
「あら、本当ですね。」
「そうや、そんでここから入って行って、この辺に、切符売って・・・・」
すると、奥さんもやってきて、
「いや。子供のころは、高い天井や思てたら、低いな〜。」
「お父さん、怒られるで・・・」
と、言いながらも、興味津々に奥へ行くと・・・ありました!!
本当に映画館です。
小さな舞台と、高い天井。
二階席の欄干が古くて、素敵です。
古い、劇場のような作りで、当時のモダンな様子がうかがえます。
映画館と言えば、レンガやコンクリートの洋風の建物を想像していましたが、大きな和風の建物です。
このあたりは、大きなお宅が多く、屋根も高いので、気が付きませんでした。
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大宇陀は、お洒落で、粋な町だったのです。
「芸者さんや仲居さんが浴衣着て、下駄履いて、銭湯にいかはるんやぁ。みんな、いろんな地方から来て、お国訛りがあってね。」
「艶っぽくって、グローバルだったんですね。」
「そや。そや。わたし、川端康成の『雪国』読んで、ここの昔のことみたいやと思たんです。」
そして、
「昔のにぎわいが戻ってほしい。」と、しみじみ言われました。
それは、少女時代のほのかな憧れのようで、かわいらしく感じました。
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大宇陀は、桜井の材木問屋と、吉野の山主たちの会合の場だったのです。
旦那衆が、粋に遊んだ町なのです。
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水屋ダンス
        トイレのドアは白
        床も貼りました